観音ガールの南無なむ日々 

はじめまして。こちらは滋賀県長浜市地域おこし協力隊観音ガールのブログです。長浜の観音文化をはじめ、歴史や仏像について色々綴っていきます。

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【徒然】「和歌山の文化財を守る」展へ行ってきました!

 仏像盗難をテーマとした展覧会

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和歌山県立博物館にて、恐らく日本初の展覧会が開催されています。

それは

「和歌山の文化財を守る―仏像盗難防止対策と近年の文化財修理―」 

仏像盗難と防犯を訴える展覧会です。

▼公式HPはこちら!

https://www.hakubutu.wakayama-c.ed.jp/wakayama-bunkazai-mamoru/tittle.png 

和歌山県内で発生している仏像盗難の実態とその対策として取り組んでいる「お身代わり仏像」の事例が紹介されています。

新たな被害を防ぐためのアピールとして、実際に盗難被害に遭って取り戻された文化財を展示されています。

 

また和歌山工業高等学校和歌山大学と連携して3Dプリンターで製作している「お身代わり仏像」を活用した防犯対策の事例を紹介しています。

1.防犯の必要性を訴える!

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「和歌山の文化財を守る」展の特徴は展示室内で写真撮影が可能であること!

仏像盗難被害を防ぐため、防犯対策の必要性を訴えるために、むしろ推奨していました。

情報を拡散して、1人でも多くの人に届けたい思いが伝わってきます。

2.展覧会開催の背景

(1)和歌山県内の仏像盗難被害

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なぜ、このような展覧会が開催されたのでしょうか?

写真は2018年3月に盗難に遭ったお堂の様子。

 

「まるで剥ぎ取るように、引きずり出した形跡がありました。」

 

本展覧会の担当学芸員の大河内さんはお話しします。

その後、メディア、警察に協力をしてもらい捜索したところ、奇跡的に同年6月に取り戻されました。

 

このような盗難被害は今に始まったことではありません。

今から8年前、2010年春頃から翌年の4月にかけて、連続60件に及び仏像172体をはじめとする文化財の盗難事件が発生しました。

 

これは被害届に出ているものだけで、この件数なので実態はもっと多いとされています。現在でも60躯以上が盗難に遭っている状況です。

(2)所蔵者不明の文化財

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仏像盗難の後、奇跡的に取り戻す事が出来ても持ち主が出てこない、所蔵者不明の文化財の展示もされています。

 

平成23年の4月に起こった盗難では80ヶ所以上が被害に遭い、43点が所蔵者不明のまま県立博物館にて寄託されています。

 

一つでも多く所蔵者の元に戻ることを願ってキャプションを通して呼びかけが。

キャプションとは展示物を紹介するパネルのこと。

本来、仏像の展覧会であれば、仏像の美術的紹介がされます。

しかし、ご覧の通り、「見覚えありませんか?」「ぜひお教え下さい」というような呼びかけがされています。

 

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こんな立派な天部像まで、所蔵者が不明だなんて…

所蔵者不明になる理由は大きく2つ。

 

1つは所蔵者が盗難に遭っていることに気がついていない。

もう1つは自分の仏さんがわからない。

 

「自分の仏さんがわからない」どうしてだと思いますか?

開扉をする機会がないと、どんな仏さんが自分の村にいるかわかりませんよね。

また、村の仏さんの写真や寸法がわからないと、どれが自分の村の仏さんはわからないです。

 3.盗難の背景

(1)どんな犯人なのか?

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でも写真のような180cm以上ある大きな仏像を盗るということは、犯人はルパンみたいな人?

いいえ、この仏像を盗った犯人はなんと83歳の男性。

おじいちゃん…。しかも1人で。信じられないですよね。

 

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「犯人に先入観を持たないでください。」

大河内学芸員はお話してくださいました。

 

対馬で起こった外国人による仏像盗難事件。

メディアでも大きく取り上げられていましたよね?

www.nikkei.com

 ですが、「国内で起こっている盗難が全て外国人によるものである」というわけではありません。

少なくとも和歌山県内で起こっている盗難の犯人は日本人で、空き巣に近い人。

しかも最初から仏像は高額になるのではなく、転売を繰り返していくうちに高額になっていきます。

 

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つまり犯人の元には大きなお金は入らないため、犯行を繰り返してしまうという悪循環が起こってしまい、盗難被害がさらに増えてしまったとのこと。

 

「価値ある仏像だから、盗むのではなく、手当たり次第犯行に及んでいます。だからどこで何を盗んだか覚えていないのです。」

(2)どんなところが被害に?

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では、和歌山県内では被害が多発していますが、どんなところが被害に遭っているのでしょう?

それは、住職がいない無住のお寺、お堂です。

特に山間部のお堂の被害が多いです。

その背景にはお堂がある村の高齢化、過疎化。

高齢化、過疎化が進むと、まずそのお堂に仏像があることを知らない人が多くなります。

 

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定期的にお堂に仏像がいらっしゃることを確認することが大切になります。

しかし、山間部の村からさらに軽トラで2~3km登ったところにあるお堂をご高齢の方が確認に行くのはなかなか大変ですよね。

 

ちなみに滋賀県長浜市内のお堂は難しい状況でありながらも、お堂をお世話する方が多いと5人ほど、いらっしゃります。

このように、それなりに管理できているところはさておき、管理体制が難しいと2年以上ご開帳していないところも和歌山県内ではあるとのことです。

 

4.防犯対策の一つとして

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※向かって右側が実物の仏像

防犯対策として取り組んでいる3Dプリンターによって複製された「お身代わり仏像」が展示紹介されています。

この3Dプリンターによる「お身代わり仏像」和歌山県立和歌山工業高等学校和歌山大学と連携して製作されています。

 

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それは、このままお堂に安置しておくのは怖い、そんなお話がある中、「お身代わり仏像」を村に納めて、本物の仏像を博物館に寄託するというものです。

 

「それって、仏像の本来あるべき姿を剥奪しているのでは?」

「偽物置いて防犯にはなるが、その地域になくてはならない存在を動かすのは…」

そんな意見も多いのではないでしょうか?

 

では村の方々のご意見はどうでしょう?

70歳が一番若く、次世代にバトンタッチできない状況の村では、

「やっと、安心して寝れる。」

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また村の方々の元へ学生さんがお納めに伺うと、

「元の仏さんのように大事にするわ。」

「うちの村のために作ってくれたんか?ありがとう。」

そう零されるそうです。

 

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「製作者が高校生、大学生なので、あの子が納めてくれた仏さんという思いが村の方々にも強く残ります。学生たちも人の役に立てているんだ、こんな状況のむらがあるんだ、と感じるきっかけになっています。」

と大河内さん。

 

3Dプリンターで製作した「お身代わり仏像」が新たに安置され、村では「ここから新たな歴史」が始まります。

そしてそれまでの歴史を語り継いでくれた仏像は博物館で、その歴史を語ってくださるのでしょう。

 

5.決して他人事ではない!文化財盗難被害

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このような仏像盗難事件は決して他人事ではありません。

全国各地で起こっていますし、滋賀県長浜市でも起こっています。

長浜市内の仏像盗難

歴史遺産課 | 文化財盗難 | 長浜市

  

「売買方法の多様化+管理体制の脆弱化=盗難増加」

 

という負の連鎖が起こっています。

今は古美術商に行かなくても、ネットオークションで、仏像を簡単に購入することができます。

その中には、もしかしたらどこかのお堂から剥ぎ取ってきた仏像かもしれません。

 

高齢化、過疎化によってお堂の防犯体制が弱まってしまう。

本当に危機的状況になる前に、地元の仏像への愛着心を持つこと、今後について話し合う機会を作ることが大切だと思いました。

 

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企画展「和歌山の文化財を守る―仏像盗難防止対策と近年の文化財修理―」  

平成30年(2018)9月1日(土)~10月4日(木)

https://www.hakubutu.wakayama-c.ed.jp/wakayama-bunkazai-mamoru/tittle.png

 

「仏像を盗難から守るために」ポケットブック

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※「和歌山の文化財を守る」展の資料とミュージアムトークにて、大河内学芸員からお聞きした内容を元に記事を作成しております。あくまで盗難事例については和歌山県内で発生した事例です。ただ、文化財の盗難事件は決して和歌山県内だけで起こっているものではありません。