観音ガールの南無なむ日々 

はじめまして。こちらは滋賀県長浜市地域おこし協力隊観音ガールのブログです。長浜の観音文化をはじめ、歴史や仏像について色々綴っていきます。

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【特集】宇根・十八日講オコナイ

当日は宇根の方々が観音さんへお参りされる行列を

邪魔にならないように見学する予定でしたが、

宇根の皆様のご厚意により

特別に見学させていただきました!

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1.宇根のオコナイ概要

宇根のオコナイでは、

式典、直会(ナオライ)、全てを含めて神事と呼び

世帯主、既婚者を問わず、家を代表して参加します。

また70戸の家が8つの組を組織して

8年に一度当番がまわり執り行われます。

 

オコナイの組織編成は

  • 塔主:前年度のオコナイにて組の中から神事を司る者。

                    塔主が玉籤で選任。1年間の精進を重ねて準備を整える。

  • 当番組:神饌のお飾りや神事の補佐、直会の鉢肴の持参などを手伝う。
  • 給仕:当番組の年少者4名が務める。

 

費用は、

  • 塔主:鏡餅、酒1升
  • 当番組:蒲鉾、酒4升
  • 自治会・講員:酒2升、スルメ、昆布、野菜、果物、菓子などお供え物

となっています。

 

オコナイと言っても

宇根では3つのオコナイを執り行います。

  • 八日講   春日神社(2月8日もしくは、2月第1日曜日)
  • 十八講   観音堂(2月18日もしくは、2月第2日曜日)
  • 牛頭天皇祭  春日神社(3月8日もしくは、3月第1日曜日)

今回は十八日講を見学しました。

 

2. オコナイを見学

(1)観音さんへお参り

午前8時から礼服姿、着物姿の方々が出てこられ、

観音堂で祝詞奏上やお勤めなどの神事を行い、

五穀豊穣、村の安泰を祈りました。

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ちなみに宇根の観音堂は

「世界で一番小さい資料館」で知られる

冷水寺胎内仏資料館で有名です。

詳細はこちらから

sam.shiga.jp

 

(2)厳格に行う直会

観音さんへのお参りを終えた後、

社務所にて直会が執り行われます。

 

直会とは一般的に神仏が召し上がったものを頂くことを言い、

観音さんへのお参りを終えた後、社務所にて直会が執り行われます。

お神酒をご一献との事で、

正座から順にお神酒を注ぎ、自治会長の発声で一斉に頂きます。

 

直会の席は、

正面中央正座に次期塔主、

向かって右側に自治会長、

左側に副自治会長。

講員は、右側の上席に最年長者、

左側の上席に2番目の年長者と

年齢順に右左に座っていきます。

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直会の後は懇親の飲食を交えて、盃の儀、玉籤の儀などを

行う流れになっています。

 

(3)懇親の場も神事

直会が終わる頃、私は給仕さんからオコナイに関する書物

観音講大要録』をお見せいただきました。

大要録は「三方」の向きや「紙垂」の作り方、

お酒の量などをまとめたいわばマニュアル本でした。

長年口伝で伝えてきたことを次世代にも

きちんと伝えていくため、記録を残しているのでしょう。

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ちなみに一般的に給仕さんと言うと、

女性あるいは若者が担う印象がありますが、

宇根のオコナイでは当番組の年少4名が務めるため、

組によっては、60歳超えても給仕をする事もあります。

先ほどまで、『大要録』をもとにオコナイについてお教えくださった

給仕さんも直会が終わり、懇親の飲食が始まると、

徳利を持ちお酒を注いでいきます。

 

「〇〇さんへ盃をお渡しください」と声をかけられ、

「△△さんからです」と誰から頼まれた盃か伝えてお酒を注ぐ。

伝言ゲームのようにこれを繰り返します。

これはその場にいる全員が全員の名前と顔が一致しないと

ことを進めることができません。

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つまりその場にいる全員がお互いの顔と名前を覚える場となっているのです。

普段、村の外で仕事している人は村で顔を合わせる

機会がなかなかありません。

この懇親の場で世代を越えて交流し

村の絆を深める大切な時間を過ごします。

 

3. 村で「大人」を育てる

(1)礼儀作法を教える

直会が終わると和やかな雰囲気でお酒を交わし合います。

その一方で、盃の受け方、給仕さんの足の運び、徳利を傾ける所作。

一つ一つの所作がとても綺麗でした。

時々、若手に所作を教えている光景も見られました。

例えば、飲食を終えてそのままにするのではなくきちんと整えるなど。

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オコナイは五穀豊穣・村の安泰を祈る

奈良の大寺院の修正会・修二会のようなものである一方で、

村の若者が礼儀作法を教えていただく場でもあったようです。

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(2)神仏への礼儀を教える

オコナイに出席されている方々は

扇子とお数珠を必ずお持ちです。

扇子は神様の前へ、お数珠は仏さんの前へ。

失礼のないように、マナーであるとおっしゃっていました。

 

全ての神事を終えて退出されるとき、

二礼二拍手一礼をします。

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上座から順に無言で席をたち、

神棚に向ける眼差し

深々と礼をする姿

真剣さがヒシヒシと伝わってきました。

上座から退出する年長者の姿を下座の村の若者たちは

しっかり見つめていました。

神仏への想い、オコナイへの想いを

村の年長者から若者へ姿勢で伝えています。

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4. オコナイが繋ぐ村の精神

宇根では高齢化に伴い、

参拝者は、全講員の8割程度。

直会出席者はその半分ぐらいになってきました。

取材をしている中で服装や読経、神事が簡素化していくことについて

「何を残して何を伝えていくかが重要」

というお話になりました。

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宇根のオコナイは時代の流れから簡素化しながらも、

「村の中でのコミュニケーション」

「世代を越えた交流」

「村の人は村全体で育てる」

ということを守り続けているのではないでしょうか。